ばっちり正論みっけw

        日中関係=日本孤立は誤り


2006.01.20 日中関係=日本孤立は誤り」

 靖国問題に、在上海日本領事館自殺報道、更にポスト小泉の政治的思惑があり、日本孤立化論をしばしば耳にする。

言論の自由が認められているわが国では種々の議論があることは当然だが、中国との首脳会談が行なわれないこと即、日本の孤立と決め付ける主張は外交の全体を見ない偏った意見と言わざるをえない

切れ味鋭い名刀の如し、でんなw

 小泉総理は12月だけでもクアラルンプールでの第1回東アジアサミット(EAS)、ASEANプラス3会議、日本・ASEAN首脳会談など一連の外交日程の中で日本の立場を明確にし、相手の理解も得られている。

日本ASEAN首脳会議の共同声明には、双方が戦略的パートナーシップを深化・拡大すること、東南アジア友好協力条約(TAC)、その他国際法の原則、普遍的な価値とグローバルな規範にそって協力していくことが具体的項目別に再確認されているのである。

温度差はあるものの、EAS開催の背後には最近の中国の覇権主義的行動への不安がASEAN各国にあることを忘れてはならない。


 中国は靖国問題が日中首脳会談を阻んでいると主張している。しかし靖国参拝に批判的な民主党前原党首にも、訪米時の発言を理由に対話を拒否していることから、靖国問題が真の阻害要因ではないことは明らかである

明快明晰。かつ短文で余計な修飾一切なし

グローバル化の進展に対応し、各国はそれぞれ国内改革が必要である。その対応が進まず、国内に不満が鬱積する国ほど、政府の危機を外に向ける為、感情的なNationalismに訴えざるを得なくなる。

殊に、民主的手法による政府の Legitimacyが確立していない国ほどこの傾向は強い

ズバリ特亞の特徴抉り出している


 中国、韓国など隣国との対話が望ましい事は言うまでもない。

しかし主権・領土の相互保全、内政不干渉などの国際責務を果たさせることに疑問がある国との対話がないことは決して孤立ではない。

逆に、国民の不満を政治的に外に向かわせざるを得ない国こそ孤立することは歴史の教訓である

はぁ〜、すっきりホレボレ。


真野 輝彦 (まの てるひこ)

三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株) 客員研究理事
1956年 東京銀行入行。
フランクフルト支店為替課長、本店為替部次長、スイス東京銀行総支配人、丸の内支店副支店長、調査部長を歴任。
1985年東京銀行取締役、1987年東京銀行参与。
1996年合併に伴ない、東京三菱銀行参与。
1999年より現職
   
日本商工会議所東京商工会議所 政策委員会委員
国際経済研究所 理事
国策研究会 評議委員会議長
日本国際フォーラム 政策委員
売国際経済懇話会 特別会員
International Club of Bank Economists会員
国際通貨研究所 評議員
聖学院大学・大学院 教授

探したらこんな論考も。
        再認識すべき日印関係強化の重要性


2003年10月25日 政策委員 真野 輝彦


≪三重構造の中の対外戦略≫

 ASEAN東南アジア諸国連合)加盟10カ国と日中韓の「ASEAN+3」、ブッシュ米大統領の来日とAPEC(アジア太平洋経済協力会議)閣僚・首脳会議、さらにはメキシコとのFTA(自由貿易協定)問題など、地域協定や二国間協議が活発だ。

他方、WTO世界貿易機関)など世界規模の組織活動は、カンクン会議の結末が示すように低調だと言わざるを得ない。参加国数が増加し、利害調整が難しいからである。

 各国の対外交渉が、二国間、限定地域間、世界規模の三重構造の中で行われる中で、わが国は無差別主義、国連主義に固執し、また農業はじめ一次産業分野での改革の遅れから、地域協定と二国間の面で出遅れている。日墨FTAも決着ができなかった。

かかる状況下で日印関係強化の重要性を主張しておきたい。

 日本のアジア戦略は、中国を含む東南アジアが対象になりがちである。しかしミャンマーまで西に拡大したASEANは、インド亜大陸と国境を接している。そのインドとASEANの交渉枠組みとして96年5月に発足したのが「ASEAN+1」である。

ASEAN・インド間の経済取引規模はASEAN・日本間に匹敵する。換言すれば、ASEANを介在して東、東南、南の各アジア地域が一体化しつつあるのだ。EU(欧州連合)の発足もベネルックス(ベルギー、オランダ、ルクセンブルク)が核となったことが思い起こされる。


中国より有利な投資環境

 極東軍事裁判におけるインドのパール判事の日本弁護はよく知られているが、日印関係は必ずしも緊密とはいえない。

インドの自由化政策の遅れもあるが、日本もASEAN、更には一足先に門戸を開いた中国との関係構築を優先したという事情がある。

だが、ASEANからインドまでアジアの一体化が進む今は、中国に集中しがちな対外投資や外交・安保など長期戦略を見直す好機ととらえたい。



 まず、インドの実情を中国との対比で整理してみよう。

第一は、民主的選挙による政権交代が行われていることである。これに対し中国は、所得上昇にともなう民主化プロセスはこれからであり、種々の困難も予想される。

「政権が一夜にして変わっても基本政策が変わらず、…」とは、この非独裁政権のメリットだわね

第二は、9億人超の人口を抱えることである。中国も市場規模を売り物にしているが、今世紀中にインドの人口は中国を上回ると予測されている

ほぇ〜、そらてぇへんだぁ

第三は、日本人になじみ深い英語が使えることである。さらに、インドは0(ゼロ)を発見した国で、IT(情報技術)関係の人材が多く、既に新シリコンバレーができている。

第四に、法体系・税法なども一応整備され、日本の全人口を超える規模の高所得層が既に存在している


 もちろん核保有カシミールカースト制度など問題もあるが、似たような問題は中国も抱えている

それ以上だわなw

対中投資は沿岸地域から始まった。インド亜大陸は広い。ASEANに近い地域から選べばよい。



 この地域には大きな将来の可能性が存在する。2000年7月にインド、ミャンマー、タイ、ラオスカンボジアベトナムが合意した「メコン・ガンガ協力」はその代表的なものだ。

インド東部からベトナムに至る交通路の整備を目指しており、当事国の物流活性化のみならず、日本にもインド洋、ベンガル湾マラッカ海峡経由の海路との選択肢を与えてくれる。

他方、この地域は南の海への出口を求める中国の戦略的要衝でもある。


先日のバリ島会議でASEAN・インド、ASEAN・中国間の東南アジア友好協力条約(TAC)締結は、この十字路での軋轢(あつれき)を見据えた安全保障のカウンター・バランス戦略といえよう。


対中牽制役としての存在≫

 この両にらみ戦略は日本にとっても必要である。この地域の西端であるインドとの関係強化を筆者が主張する最大の理由である。

ASEANからは日本にもTAC締結の呼びかけがあるが、政府対応は及び腰のようである。日米同盟との競合が理由というが、TACは主権・領土の相互保全、紛争の平和的解決等が目標であり、日米安保とは補完関係にある。締結に躊躇(ちゅうちょ)すべきではない。

同時にODA(政府開発援助)のこの地域への重点張り付けも必要である。中国は「アジアの大国」を示すためAPEC会合の最中、有人宇宙船「神舟5号」を打ち上げうる国である

 地域連携等、外的変化に適応できる国内体制作りが小泉改革の目的である。同時にその国内改革を有利に展開するための対外戦略を、三重構造の枠組みの中で実行することが肝要なのである。

[『産経新聞』 2003年10月25日号 「正論」欄より転載]

二国間・限定地域間・世界規模の三重構造枠組みネ。
地図はいつも手放さぬよーにw